『Mote Mote』の開発

「ちょっと もてればいいんだよなぁ」

大腸ESDを見学させていただいた。
執刀の先生がスコープの挿入部から手を離す際に、処置具の介助をされている先生に「(スコープを)ちょっと持ってて」と指示を出されていた。「もう少し高く」、「もう少し押し込んで」。

介助の先生がご自分の操作で手いっぱいの時もあるだろう。スコープをちょっと持てる道具があったら、ほんのちょっと役に立てるかもしれない。

「ちょっと引くからちょっと緩めて(→引ける程度に”しっかり”掴んで)」、、、、、。
ただのゼロイチ(ONとOFFだけの)のロックでもなさそうだ。「ちょうどいい感じ」で保持できなければならないな。

「うーん、うーーん」 
ひたすら試行錯誤。

やりたいことは単純でシンプルなのに、難航。
「アイデア→イラスト&簡易設計→ダメ(全体最適的でない)」の繰り返し。
・いろいろな太さの内視鏡や関連器具をしっかり持てること。
・保持する位置や向き、掴む力は直感的に連続的に変えられること。
・準備(設置)、操作、片付けが簡単なこと。
・保険材料にはなれないから、導入費や運用コストが安いこと。
・内視鏡室になじむこと、医療機器らしいこと。

「うーん、ううーーん」

「とりあえず作ってから考えよう」

えーい、いろいろつくってみよう。なんでもいいから工作したくなった。
試作用の土台には、ENDO CRUISERの開発で使ったバーベル(2.5kg)を使おう。バーベル2.5kgは重過ぎた。持ち運びが大変、落としたら大変。新しく購入した1.5kgのバーベルでも、自宅の布団のうえに安定設置できことを確認した。
肝心の上が、、、難航。フレキシブルなホースはいいと思うんだけどな。

難航、難航、難航、発見!

なんか、いいもの、いいこと、いいアイデアはないか。
ひたすら模索。

趣味で近所の大型の100円ショップとホームセンターをよく散歩します。
「これはなんだ、あれはなんだ」
「これはアレに使えるかもしれない」
「どうしてこれが100円なんだ」
「とりあえず買って帰ろう」

偶然、カメラ用のフレキシブル三脚を発見。
「これだ!」

保持しているカメラ(主役)が、1.5kgのバーベル(脇役)
巻き付いている柵の棒(脇役)が、保持しようとしている内視鏡(主役)。
「もしかしたら、いけるかもしれない」(ワクワク)

「はやく作りたい。」「できた。」「これで試せる!」

作ってみた。
おー、いい感じだ。
Feasibilityを評価するため、いろいろな評価をした。

100点とは言えない。でも十分な合格点だ。
医療機器としての有効性と安全性はしっかりと確保したうえで、
早く世に問うてみたい。「こんなアイデア、お役に立ちますか?」
受け入れられるなら、しっかりと投資をして120点の製品を開発する。

世界を代表する著名な先生方のご協力やご声援をいただいた。とにかく本当にうれしかった。

ひたすら試作と改良の繰り返し

全体デザインはとにかくシンプルで(凝らない、旋盤だけでコスト安く製造できるデザイン)。富士山型に決定。
フィンガーの根元の高さや長さ、大体の重さは決まってる。大体の大きさは段ボールモデルを作って触って決めよう(患者様のそばや保管場所に置いても邪魔にならない、他の機器を邪魔しない)。

最終的には、自宅ベッド脇の3Dプリンタで試作して決定。



最終試作の完成 「ありがとうございます」
知財(意匠・特許)、薬事、保険と梱包開発。

医療機器として製品化するため、リスクマネジメント活動、設計履歴ファイル(DHR:Design History File)や製造手順書(SOP:Standard of Procedure)などなど、各種ドキュメンテーションに没頭。デスクワークが多くなると、どうしても工作がしたくなる。

そうだ、梱包はどうしよう?、「ハードケースを使って作ってみよう!」
ケースの中に使う緩衝材は?、「とりあえず100円ショップに行ってみよう!」

早急にデスクを離れなければならない案件ができた。

販売開始

先生の「持って」に、「持てます」と応える頑張り屋、ということで『モッテ モテ』。これまでの人生を振り返り、ちょっと控えめするべきと考え『モテモテ(Mote Mote)』と命名した。

『Mote Mote』の製品コンセプトと基本デザインが受け入れられ、現場の先生方役に立ちますように。

次世代製品の開発スタート

Mote Moteのコンセプト、よさそうだ。よかった。
よし、ロゴを考えよう!

第2世代の開発をスタート。
より使いやすくて役に立ち、先生方に使ってみたいと思っていただけるよりよいデザインを目指します。試してみたいことがいっぱいです。

たくさんの先生方にご指導いただければ幸いです。

第2世代製品(Motte Mote, モッテモテ)のイメージ